整体の仕事をしている一方で、私にとって音楽は昔から大切な存在です。このカテゴリーでは、施術を少し離れて、心に残った音楽や本、映画について書いています。
この曲が収録されたアルバム『Sky Blue Sky』が発売されたのは2007年。
この曲が収録されたアルバム『Sky Blue Sky』が発売されたのは2007年。
気づけば、もう20年近く前の作品ということになる。それなのに古さなんてまったく感じない。ライブでは今もお馴染みのハイライトとして演奏され続け、自分自身もずっと聴き続けている。
Wilcoの音楽全般に言えることだけれど、とにかくスルメのような音楽だ。聴けば聴くほど味が出てくる。もしかしたら、自分が歳を重ねたことで、より深く感じられるようになっただけなのかもしれない。
サビで突然歌われる、
「Impossible Germany」
「Unlikely Japan」
あり得ないドイツ。思いもよらない日本。
正直、意味は全くもってよくわからない。
でも、この意味のわからなさこそに、ジェフ・トゥイーディの屈折した孤独感が表れている気がしている。
彼の書く言葉には、いつも「自分だけが世界と少しズレている」という感覚がある。
バンドで世界中を回り、大勢の観客から歓声を浴びる。そんな場所にいながら、本人だけは少し離れたところから「あれ、俺はなんでここにいるんだろう」と自分自身を眺めているような浮遊感がある。
そんな感覚こそが、何十年もWilcoを聴き続けてしまう理由なのかもしれない。
ジェフ・トゥイーディの魅力は、「俺は孤独だ」と大げさに叫ばないところだ。
孤独をドラマチックに演出するのではなく、むしろアルバム全体に漂う穏やかな空気の中へ、何事もなかったように隠してしまう。
すべてを受け入れているような顔をしているけれど、本当は世界との距離をずっと測り続けているのかもしれない。
そして、彼が言葉を途切れさせ、自分の内側へ閉じこもろうとした瞬間。
ネルス・クラインのギターソロが始まる。
ネルスのギターが鳴った瞬間、自分と世界の間にあった薄い境界線が消えていく。もちろん世界と一つになれるわけではなく、ただその瞬間、離れていたものをつなぐ一本の線が現れる。
まるで、ジェフが隠してきた「世界とのズレ」や「無関心の奥にある不器用さ」をすべて理解したかのように、ネルスのギターが代わりに感情を爆発させる。
ジェフが「あり得ないドイツ」としか表現できなかった静かな孤立感を、ネルスのギターは受け取り、そして言葉では届かない場所まで連れていってしまう。
歳を重ねるにつれて、自分と世界との「噛み合わなさ」のようなものは、消えていくどころか、少しずつリアルになっていく感覚。
世界とうまく交われず、どこか浮いてしまっている僕たちは、あのギターソロを聴いている瞬間、少しだけ救われたような気持ちになるのだ。

コメント