Lil Louis 『Club Lonely』僕らと孤独の10年間

どこで初めて聴いたのかは、もう覚えていない。

CLUBだったのか誰かの家だったのか。

Lil Louisの「Club Lonely」。

冒頭、「時々孤独を感じる?」から始まる。

本来、クラブなんて孤独を感じる場所とは正反対の場所のはずだ。
人がいて、音楽が鳴り、みんな踊っている。

なのにLil Louisは、わかっていたんだよ。

お前も、実は孤独なんだろって

あの頃、「ロスジェネ」なんて言葉はなかった。

今では「失われた10年」なんて呼ばれている時代の、ど真ん中にいた。
バブルが終わり、世の中の空気が変わっていく。

先のことを考えても、なんとなく明るい感じがしないし閉塞感とか、やるせなさとか。

それを誰かのせいにもできないし自分のせいだと言われても、それも違う。

自分が何かを間違えたわけでもないのに、目の前の道だけが少しずつ狭くなっているような感覚。
時代も自分もどこかで流れが止まっているような感じがあった。

今になって「失われた10年」なんて言われるけど、

勝手に人の10年、無くすなよ。

そう言いたくもなる。

そんな時代に、僕らはクラブに行きただ音楽を聴いて踊っていた。

何かあるんじゃないか。
何か起きるんじゃないか。

まあ、実際には何も起きないんだけどね。

フロアには冒頭のあの問いかけが聞こえてくる。

「時々、孤独を感じる?」

あの頃は、そんなことを深く考えることもなかったが今なら、少しわかる気がする。

その頃クラブにいた人たちは、自分の中に何かを抱えていた人もいただろう。
それでも音楽が鳴れば、同じフロアに立って、同じ音を聴いていた。

孤独なのに、一緒にいる。でも孤独。

そんな矛盾した場所だったのかもしれない。
だからこそ「Club Lonely」だったのかもしれない。

あの曲を聴くと、そんな時代のことまで思い出す。

失われた10年。

ロスジェネ。

そんな言葉が後からいくらでもペタペタと貼られていく。
でも、僕らにとっては、失われた10年なんかじゃない。

ちゃんと生きていた10年だ。

踊ったり、恋をしたり、誰かの家でずっと喋って音楽を聴いたり、仕事したり。

もちろん、うまくいかなかったこともあったがそれでも、それなりにしっかりとあの時代を生きていた。

たまにあの印象的なジャケットを探しレコードに針を落とすと少しだけ、あの頃に戻る。

あの頃の若かった自分はいない。歳をとってもあまり変わっていない気もするがLil Louisは、今でも同じことを飽きずに聞いてくる。

「時々、孤独を感じる?」

そして僕はこう答える。

「時々ね,,,」

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