施術を始める前に、「まず一度、深呼吸してみましょう」と声をかけることがあります。
すると、「あれ、深呼吸ってどうやるんだっけ?」と戸惑ったり、思ったようにうまく呼吸できなかったりする方がいらっしゃいます。
深呼吸というと、胸を大きく膨らませて、たくさん息を吸うことを思い浮かべるかもしれません。でも、実際にやってみると、肩に力が入ったり、息を吸おうと頑張ってしまったりすることがあります。
それだけ私たちは、普段、自分がどのように呼吸しているのかを意識していないのかもしれません。
呼吸は、生まれてから一度も休むことなく続いています。それなのに、「呼吸をしてください」と改めて意識すると、急に難しく感じる。
これは少し面白いことだと思います。
そして、そこから身体を見ていくと、呼吸には筋肉や横隔膜、肋骨、胸郭など、身体のさまざまな部分が関わっていることがわかります。さらに、緊張や安心といった心の状態も呼吸に影響します。
今日は、そんな身近だけれど意外と奥深い「呼吸」と「横隔膜」について、そして私が施術で行っている頭蓋仙骨療法と呼吸の関係についてお話しします。
呼吸は身体の動きの一つ
呼吸というと「肺が空気を出し入れしている」と考えるかもしれません。しかし、肺そのものが自分で膨らんだり縮んだりしているわけではありません。
呼吸の中心的な役割を担っているのが、胸郭の下にある横隔膜です。横隔膜が動くことで胸郭の中の容積が変化し、それに伴って空気が肺へ入ったり、外へ出たりします。
さらに呼吸のたびに、肋骨や胸郭、腹部なども動いています。
つまり、呼吸は身体の中で起きている一つの運動です。
私たちは歩く時には足を動かしていることを意識しますが、呼吸ではそれほど意識しません。それでも身体は、一日中休むことなく呼吸という運動を続けています。
横隔膜は呼吸だけをしているの?
横隔膜はドーム状の筋肉で、胸部と腹部の境目にあります。
息を吸う時には横隔膜が収縮して下がり、息を吐く時にはゆるんで上がります。この動きによって、胸郭の中にも変化が起こります。
横隔膜のすぐ下には胃や肝臓などの内臓があります。そのため横隔膜が動けば、その下にある腹部にも圧力の変化が生まれます。
呼吸は胸だけで起きているものではありません。胸とお腹、背中、肋骨など、身体のさまざまな部分が関わりながら行われています。
だからこそ、呼吸が浅くなっている時には「呼吸だけ」の問題として考えるのではなく、身体全体の緊張や動き方にも目を向けることが大切だと私は考えています。
緊張すると呼吸はどうなるのでしょうか
仕事で緊張している時、人前で話す時、嫌なことを考えている時。そんな時に、自分の呼吸がどうなっているか意識したことはありますか?
気がつくと息を止めていたり、胸の上の方だけで呼吸していたり、肩が上がっていたりすることがあります。
反対に、仕事が終わって家に帰った時や、好きな音楽を聴いている時、温かいお風呂に入った時などには、「ふーっ」と大きく息を吐くことがあります。
これは、心の状態と身体の状態が別々ではないことを感じられる瞬間です。
「想」の記事でも書いたように、心と身体は常につながっています。不安や緊張が続けば身体にも力が入り、その身体の緊張がさらに呼吸へ影響することがあります。
呼吸だけを無理に変えようとするのではなく、まず「今、自分は緊張しているんだな」と気づくこと。それだけでも、自分の身体を知るきっかけになります。
頭蓋仙骨療法では呼吸も大切な手がかりに
私が行っている頭蓋仙骨療法では、身体を強く押したり、無理に動かしたりすることはありません。
とてもやさしく身体に触れながら、その人の呼吸や身体に起きている微細な変化を感じていきます。
緊張している身体では、筋肉や筋膜などの組織にも持続的な張力が生まれています。そうした張力が続いていると、身体は常にどこかで頑張っているような状態になっていることがあります。
そこで、無理に筋肉を伸ばしたり、骨格を動かしたりするのではなく、まず余計な緊張がゆるんでいくのを待ちます。
筋肉や組織の緊張がゆるみ、張力が抜けてくると、呼吸にも変化が現れることがあります。息を吐くことが楽になったり、呼吸が自然に深くなったり、身体全体の力が抜けていくことがあります。
もちろん、すべての人に同じ変化が起こるわけではありません。大切なのは、「深い呼吸をさせる」ことではなく、その人の身体がどのような状態にあるのかを感じながら施術することです。
「深く呼吸しよう」と頑張らなくてもいい
「深い呼吸をしましょう」と言われることがあります。
深く呼吸することが気持ちよいのであれば、それは一つの方法です。
ただ、深く吸おうと頑張りすぎると、胸を大きく膨らませようとして肩や首に力が入ってしまうこともありますので
まずは今の呼吸を感じてみることをおすすめします。
息を吸っているのか、吐いているのか。呼吸は楽なのか、少し苦しいのか。胸やお腹は動いているのか。息を吐いた後に、身体の力が少し抜ける感じはあるのか。
変えようとする前に、今の自分の呼吸を知る。
それだけでも十分です。
身体がゆるむと呼吸も変わっていく
呼吸は、自分の意思でコントロールすることもできます。しかし、眠っている時にも呼吸は続いています。
つまり呼吸には、自分で意識して動かす部分と、身体が自然に行っている部分があります。
私は、身体を整える時にもこの「自然に起こる変化」を大切にしています。
身体に力が入っているからといって、力を抜こうと頑張る必要はありません。「力を抜かなければ」と思うこと自体が、新しい緊張を生むこともあるからです。
まずは安心できる状態をつくり、身体がゆるむための時間を持つ。
すると、呼吸もそれに合わせて変わっていくことがあります。
これは「呼吸を良くするために身体を整える」という一方向の話ではありません。呼吸、筋肉、姿勢、心の状態などが互いに影響し合いながら、その時の身体の状態をつくっています。
呼吸から自分の身体を感じてみる
呼吸は、いつでも自分と一緒にあります。
仕事中でも、歩いている時でも、眠る前でも、呼吸は続いています。
だからこそ、自分の身体の状態を知るための身近な手がかりになります。
忙しい時ほど、一度立ち止まって息を吐いてみる。
肩に力が入っていることに気づいたら、そのことを否定せず、「今、緊張しているんだな」と感じてみる。
そして、できれば少しゆっくり過ごしてみる。
身体は、いつも言葉で教えてくれるわけではありません。呼吸や動き、力の入り方など、さまざまな形で今の状態を知らせてくれています。
頭蓋仙骨療法も、その小さな変化に目を向けながら、身体が本来持っているバランスを取り戻していくための時間だと私は考えています。
呼吸を無理に変えるのではなく、呼吸が自然に変わっていけるような身体の状態をつくる。
その人にとっての「楽」や「快」を大切にしながら、身体全体を見ていきます。
初めての方に安心して体感していただけるよう、初回限定の料金をご用意いたしました。 その日の心と身体の状態を丁寧に見ながら施術を行います。まずは安心してお気軽にご相談ください。

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